社団法人 日本添乗サービス協会
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派遣添乗員の労働環境、処遇等の改善に関するTCSA活動概要

 

(社)日本添乗サービス協会(TCSA)は、昭和61年(1986年)に社団法人として認可設立以来20年余に亘り業界唯一の公益法人として活動を続けてきました。TCSAの正会員は添乗員派遣会社で構成されていることから、その活動は業界及び会員会社の健全なる発展のためを主目的としていますが、会員会社に所属する添乗を専門職とする派遣添乗員の方々の労働環境改善及び地位の向上も事業の大きな柱に掲げています。
 しかしながら、次のような要因により改善の糸口が見えにくいのが実態でもあります。

 

*労働環境や処遇の改善等は派遣元単独で解決できるケースが少なく、派遣先である旅行会社(業界)の認識と理解を得て初めて改善への足がかりが可能となる。

*旅行会社の社員添乗から始まった歴史が背景にあり、労働形態、処遇などに過去からの悪しき慣習が残っているために解決に結びつかない。

*需要と供給のシーズン繁閑差、旅行会社系列インハウス派遣会社の台頭などもあり、依然として派遣先、派遣元の間に力関係が存在する。

*積年の課題が多く、なかなか具体的な成果が見えにくい。

 

同時にTCSAとして反省する点では、添乗に携わる方々に直接協会の活動状況等を発信する努力を怠ってきたことが、添乗員の皆様からご批判をいただく原因になっていることも事実であります。
 直接解決の最終点には到達していない課題も数多くありますが、TCSAがここ数年取り組んできた活動の概要を項目別に整理しました。
 未だ解決へは道半ばのものが大部分ではありますが、一歩一歩会員会社の協力を得て前進していく所存ですので、添乗員の皆様方のご支援とご理解を心より願っています。

 


T労働環境・処遇改善に向けて
U地位の向上と職業としての魅力づけについて

 

T 労働環境・処遇改善に向けて

 

1、派遣先旅行会社に対する種々改善要求及び話し合いの場構築

 

1)「TCSA・JATA定例協議会」の設置及び継続

 

従来の年に1回開催されていた運輸省観光部長の私的諮問機関に替わるJATAとの定期的協議の場を平成16年に設置し、以降現在まで定期的に開催し、添乗に関する様々な課題を検討、協議し、現在16回を数えている。

 

2)「添乗員労働問題研究会」の設置

 

定例協議会のワーキンググループの位置づけでJATA,TCSA選出委員に、サービス連合の委員も加え、3団体の協議の場として平成16年9月に設置された。以降19回開催し、主として添乗中の労働時間管理問題、処遇改善、業務改善、環境改善に取り組み、種々改善に向けて話し合うと共に、添乗労働については厚生労働省に見解を求めるべく一定の考え方を作成、答申した(全ての旅行形態に事業場外みなし労働時間制の適用)。更に厚労省からの要請により、3団体協議のうえ6月に見直し案(国内日帰り及び大会行事等の事務局詰め添乗は実時間管理、その他はみなし労働時間制適用)を再提出した。

 

3)「JATA添乗員問題検討部会」への参画

  

添乗問題が旅行業界にとっても重要課題であることを認識したJATAが、旅行業経営委員会の部会として平成18年に設置された同会議にサービス連合と共にオブザーバーとして定例出席をし、添乗員同行ツアーの大半を占める派遣添乗員の立場を代表して様々な改善に向けて提言を行っている。

  

2、TCSA内の委員会活動

      

1)TCSA企画運営委員会による改善活動

      

大手独立系、インハウス系トップで構成された委員会として業界全体に関わる重要事項を協議していく委員会であるが、平成18年度には、東名大を中心に国内旅行最低派遣料金のアップを目指して強力な活動を行い一定の成果を挙げた。更に改善に向けてTCSAアクションプランを策定し、会員会社に徹底を図った。

 

2)TCSA業務改善委員会

       

旅行会社に対して改善要望事項が多数ある中で、重点要望事項として平成17年には、添乗員の登竜門であり、応募者減少・定着率低下の大きな要因となっている「日帰りバスツアーに関わる労働環境、業務改善」に焦点を絞り、特に派遣添乗員の需要が大きいメディア系大手3社との意見交換会を実施し、改善への要望を行った。翌平成18年には、労基署から是正指導のあった添乗打合せ・精算の時間管理支給、深夜労働に関する時間外支給、添乗付加手当及び暦日を超える添乗に関して1日分の支給などのついて前年同様大手メディア系5社に意見交換会を実施し改善を申し入れると共に、各派遣先旅行会社対応状況を調査し全国運動を展開した。平成19年度は観点を変えて、バス移動中の添乗員の安全管理のための正シートの確保及び添乗員自身の個人情報保護の申入れを行った

       

3)TCSA添乗員厚生委員会

        

業界の特殊事情から積年の課題であるセクハラ防止に関しての活動を継続し、少しでも働きやすい職場環境づくりを目指し、セクハラ防止セミナーの実施、セクハラ撲滅に向けてのマニュアル作成、会員会社の窓口責任者の明確化、加害者対策として日本バス協会、日本海外ツアーオペレータ協会への申入れを行う他、JATAとの会合では常に警鐘を発してきた。

        

3、その他

         

1)啓蒙のための「派遣添乗員のキモチ」作成

         

身近な存在でありながらその労働実態の理解が薄い派遣先旅行会社に実情を知らしめるために、平成18年に派遣添乗員を取り巻く労働環境(長時間拘束、多様化する業務負担、低い給与水準、セクハラ被害等)をまとめた冊子を8000部作成し、広く旅行会社を中心に配布し啓蒙を図った。

 

2)添乗員派遣基本契約書モデルの作成

 

従来請負的な解釈が色濃く残っていた派遣基本契約を、平成14にTCSA,JATA及びサービス連合で構成された「添乗員派遣基本契約検討ワーキング」の討議を経て、新たに労働者派遣法の考え方に沿った契約に全面改訂を行った。それまでは、派遣先旅行会社が作成したものを適用するケースが多かったが、以降は大半の契約はこのモデルを準用して締結されている。又、同ワーキングにおいて、添乗中及び前後で起こる代表的なトラブル事例を抽出し、現行法に基づく適切な対応方を明示した「派遣添乗員の業務ガイドライン&添乗業務対応事例集」を作成し、不当な処理方の減少に努めた。

 

           

U 地位の向上と職業としての魅力づけについて

           

1、添乗問題調停委員会の設置

           

派遣先旅行会社と派遣元会員会社の間で添乗に関するトラブルが発生し、話し合いで解決つかない場合、中立公正的な立場から迅速かつ適正な処理を行う機関として司法専従者を委員長に平成14年に設置された。同委員会が正規の手続を踏んで招集され、審議、調停されたことは現在まで1件に留まっている。

 

2、添乗員表彰制度の拡充

            

旅行業界における添乗を業とする人達の表彰制度として唯一TCSAにおける、添乗員永年勤続表彰(勤続15年、添乗日数2500日)及び功績表彰が存在してきた。日頃黒子として旅行を支えている人達に光を当て、添乗員全体のモチベーションアップを図るために表彰制度の拡充を強力に推進してきた。

            

1)地方運輸局観光従事功労者局長表彰

              

既にあった表彰制度であるが、添乗に携わる人達にも門戸を開放するよう国土交通省に働きかけ、平成17年度に初めて実現し、以降昨年度も各地区の運輸局において受賞者が誕生している。

              

平成17年度:関東運輸局長表彰・3名受賞                

               

平成18年度:中国運輸局長表彰・1名受賞 
       近畿運輸局長表彰・2名受賞
       関東運輸局長表彰・5名受賞

               

2)TCSA特別永年勤続功労表彰

 

従来のTCSA永年勤続表彰の基準を更に上回る実績を有する添乗員のために、勤続30年、通算添乗日数6000日を越えた方を対象として平成18年に特別功労表彰を新設し、5名が初受賞した。

 

3)ツアーコンダクター・オブ・ザ・イヤー表彰制度

 

TCSA創立20周年を記念して平成18年に創設された。添乗を専門職とするツアーコンダクターで、前年に表彰に価する功績を有すると共に、模範として多大な貢献を行った者を対象としている。主催は実行委員会で、後援に国交省を始めとして、観光関係団体が名を連ねている。選考委員会は吉村作治委員長以下、業界関係者、有識者により構成されている。
 グランプリには国土交通大臣賞が授与され、準グランプリには選考委員会委員長賞、特別賞にはTCSA会長賞が各々授与されることが決定し、旅行会社、添乗員派遣会社から推薦された候補者のうち、第1回目の2006年はグランプリを含め5名、第2回目の2007年は6名が表彰された。

               

4)空を愛する女性たちを励ます賞

               

(社)日本女性航空協会が主催する表彰制度で、第11回目を迎える2007年度の受賞者としてTCSAが推薦した過去にTCSA功績表彰を受賞した3名の女性添乗員(福岡ガルーダ航空機事故、アウトバーンバス乗務員事故)が業界初の受賞をすることとなった。

               

3、TCSA添乗員相談室・フリーダイヤル設置

               

派遣先旅行会社や所属派遣元とのトラブル、添乗中の顧客対応、個人的な悩み、相談事など幅広く聞き、状況に応じて顧問弁護士、社労士などの助言を基に回答を行っている。受付は電話、メールの両方で行っているが、平成18年の相談件数は413件(メール383件、電話34件、封書1件)を数えている。全ての相談に的確に応えられる訳ではないが、1人で悩むことなく積極的に活用するよう呼びかけている。

 

4、TCSA共済会

               

昭和64年に所属する添乗員の福利厚生を目的として設立され、以来慶弔や入院、災害時の見舞金などの支給を行ってきた。現在は4500名の会員を有し、給付内容の充実により各種保険制度の充実が為されていない添乗員にとっての安心の大きな要因となっている。

               

5、現役添乗員研鑽研修の実施

                

毎年研修委員会の審議を経て研修実施内容を決定しているが、極力現場の希望を採り入れると共に、会員会社単独では実施できない内容を実施するように心がけている。TCSAが単独で実施するブラッシュアップ研修とJATA共催のレベルアップ研修を実施している。
 その他現役添乗員の就業機会増大の目的で、世界遺産検定協会とタイアップして検定講師養成講座なども開催している。

 

6、無資格添乗員の根絶を目指して

      

平成17年に四国地区で四国運輸局から派遣先旅行会社に発せられた無資格添乗員の使用に関する厳重注意を受けて、国土交通省からJATAにも同様の注意文書が発せられた。当該添乗員の派遣元としてTCSA正会員会社が関わっていたことから、TCSAでは会長名による正会員会社に対して法の遵守の徹底を喚起すると共に、通達で定められている旅程管理主任者証の発行及び携帯の徹底を求めた。この結果、会員会社からの発行依頼が急増し、派遣先も提示を求める事例が多くなったことから一定の成果は見られた。

                 

7、添乗員能力資格認定試験の実施

                  

TCSA創立10周年を記念して平成8年に設置された試験制度であり、添乗員の能力レベルの統一基準を定めると共に、自主的に添乗業務実施の能力の向上に努めることを促進するためを目的とした。以来11回を重ね、受験人は1650名余、認定者も総合1級、2級、国内1級、2級を合わせて800名を越えている。有資格者が正当な評価を受け、地位の向上を図るために周知を行ってきたが、派遣先旅行会社からその能力に見合う対価が得られていないことが大きな課題となっている         

以上

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